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映画「牯嶺街少年殺人事件」の衝撃。まずは私的追憶から

牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件
1991年/台湾/3時間56分  監督 エドワード・ヤン(揚徳昌)

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20年以上前の事だろう。「エドワード・ヤンの恋愛時代」公開時にリバイバルで上映されたのを,有楽町の「有楽シネマ」で見た。有楽シネマ,有楽町の再開発で今はもうない映画館。有楽シネマでネット検索しても殆どヒットしない。あの映画館は本当にあったのだろうか,夢だったのでは,と,思ったりもする。しかし確かに見ているので夢ではない,と思う。当時は銀座で働いていて,仕事終わりに見に行ったのだったか。今回の4Kレストア・デジタルリマスター版による再上映は4時間だが,当時見たのはフィルム3時間版だったはずだ。

今回の4Kレストアデジタルリマスターによる再上映がされることを知って,初めは見に行くかどうか迷った。3時間版を見た際には,とにかく眠くなった映画の4時間版である。これはゴダール映画なみの修行体験になるのではないかと恐れたからだ。それでも結局はどういうわけか見に行ったのだったが、結果は・・・

素晴らしかった。4時間まったく眠くならなかったどころかずっとエキサイトしっぱなしであった。それにしてもかつてはあれほど眠くなった映画にこんなにも興奮するものだろうか。天国と地獄,ヘルタースケルターくらい違う。本当に節操も何もない。

自分の評価ほどアテにならないものはない。ハズレだと思ったものが20年後に人生の糧となってやって来る(牯嶺街少年殺人事件を初見の際にハズレだと思ったわけではないが)。もう一度やって来るものを見逃さないためには,何をすればいいのだろう。

そして,驚いたことにもう一度この映画を見に行きたくなっている自分がいる。「シンゴジラ」も「君の名は」も「この世界の片隅に」でさえももう一度見に行きたいとは思わなかったのに。20年以上前には寝てしまった映画なのに。