金融機関との間で住宅ローンなどを組んだ場合,債務者もしくは第三者が所有する不動産に担保が設定,登記される(抵当権設定登記という)。そのローンの支払いが終了すると(弁済),その抵当権は消滅する。登記された抵当権が消滅した際には抵当権抹消登記を申請する。
抵当権が消滅する理由(登記原因という)は上記の「弁済」だけではない。以下に列挙する。
1.弁済
債務者(住宅ローンを借りた人)が債権者である抵当権者(銀行などの金融機関)にローンを弁済したことにより抵当権が消滅した場合の登記原因は「弁済」となる。登記原因の日付は,弁済の日(支払いが完了した日)である。
2.代物弁済
債務者が債権者である抵当権者に本来の給付に代えて他の給付をしたことにより抵当権が消滅した場合の登記原因は「代物弁済」である。登記原因の日付は,本体の給付に代えてする他の給付について抵当権者が対抗要件を具備した日である。(最判例昭和39年11月26日)
3.放棄
抵当権者が抵当権を放棄したことにより抵当権が消滅した場合の登記原因は「放棄」である。登記原因の日付は,放棄の日である。
4.主債務消滅
保証人の求償債権を担保するために抵当権を設定している場合において,債務者が債権者である抵当権者に弁済したことにより主債務が消滅し,抵当権が消滅したときの登記原因は「主債務消滅」である。登記原因の日付は,主債務弁済の日である。
5.抵当権消滅
債務者と設定者が異なる場合(第三者が債務者のために土地に担保を設定する場合,これを物上代位という)において,債権者である抵当権者と債務者との間で免責的債務引受契約による新債務者の債務を担保することについて承諾しなかったことにより抵当権が消滅したときは「抵当権消滅」である。登記原因の日付は免責的債務引受契約の締結日である。
6.所有権の時効取得
抵当不動産が時効取得されたことにより抵当権が消滅した場合の登記原因は「所有権の時効取得」である。登記原因の日付は,時効取得者の占有開始日である。
7.買戻権行使による所有権移転
買戻権が行使されたことにより抵当権が消滅した場合の登記原因は「買戻権行使」である。登記原因の日付は,買戻しの意思表示の到達日である。
8.抵当権消滅請求
抵当権消滅請求がされたことにより抵当権が消滅した場合の登記原因は「抵当権消滅請求」である。登記原因の日付は払戻日または供託日である。
イースト葛飾春風の森司法書士事務所 司法書士麻嶋修
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